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取材記事が却下になったわけ

【取材記事が却下になったわけ】


 2018年10月のことである。大手新聞の東京本社虐待をテーマに取材している記者から、大人の虐待被害の当事者として取材したい(全国紙面)と電話があり、大人の未来の代表として取材に応じた。
 随分、虐待問題に熱心な記者で、なんと2時間も取材されてしまった。しかし、なんと記事にならず「企画」がつぶれたのだ。記者からは、また引き続き取材したいと連絡はあったが、まあなしになったわけである。
 
 経緯を言うと、記者は、その新聞の全国紙面で特集している《子どもを守ろう!》という連載記事の中で、「(虐待を受けた)先輩から子どもたちへのメッセージ」というテーマで取材してきたのです。大人の虐待後遺症を知らずに取材に来てるな、と直感でわかったため、個人的にはあんまり気が乗らなかったけど、全国紙面で活動の広告にもなるしと思い、取材を引き受けました。

 取材のとき、開口一番に一番伝えたかったことを言いました。

「私は、当事者として、虐待されてた子ども時代より、大人になってからの15年間の方が地獄でした」と。大人になり虐待の後遺症が重篤で苦しみ続け、人生が狂いました。そんな大人の当事者があまりに多いのに、支援もありません、と。

 記者はその内容を記事にすると熱心に言いましたが、デスクは却下した。つまり、その新聞のデスクは、当事者の大人から、今の子供たちへ、希望のある応援のメッセージ(キラキラな言葉)を送ってほしかったのだと思うのです。
 私は別に意地悪で言ったわけでは全くない。正直に真実を、実態を伝えました。そこの支援が欠けているために、大人も子どもの未来も危険だからです。今、社会に絶対的に、虐待後遺症の知識は、必要な情報だからです。


 虐待という問題が、如何に子供だけの問題だとマスコミも世間も思っているかがこれでよく分かったのです。虐待という問題を子どもという枠だけで捉え、《子どもを守ろう!》という特集記事も、社会問題の枠を狭くした中での議論だということ。そういうテーマを絞った記事も勿論必要だし良記事もあるでしょう。
 
 だけど、そもそも、「先輩から子どもたちへのメッセージ」という企画が如何に、虐待の実態をあまりに捉えていない企画だったか、その新聞社は果たして分かっただろうか?と思っている。当然、子どもたちに伝えるべきSOSの出し方などの内容でもよかったのですが、当事者の大人は「乗り越えた強い人」というような、あまりに虐待後遺症を知らない実態を私は伝えたかったのだ。

 大人になった虐待サバイバーの大人時代の物語(虐待後遺症)って拙著で自分のことは書きましたが、他のサバイバーでもほとんど物語として、出てきてないんですよね。私は、そこを社会に伝え、色んな視点から新しい問題提起をしていきたいと思っています
 今後も応援頂ければうれしいです。

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by habachie0221 | 2019-10-21 08:35 | 虐待サバイバー | Comments(0)

書籍【わたし、虐待サバイバー】に掲載できなかった内容や虐待に関する啓発を行っていきます。また専門の野生動物や自然についてもコラムを書きます。


by 羽馬 千恵(はば ちえ)